岡田
 岡田は知多木綿発祥の地ともいわれる町です。現代では木綿はもっとも大衆的な繊維ですが、日本で木綿栽培が本格的になったのは16世紀ごろ、さらに一般の人々の衣類に用いられるようになったのは17世紀後半ごろのことです。知多半島での木綿生産のスタートははっきりしませんが、17世紀後半には木綿の産地として知られるようになっていました。さらに、18世紀後半に晒の技術が伝来すると、ますます木綿生産は発展を遂げていきます。その生産と流通の拠点となった町が岡田です。近代になると機械を導入した綿布工場も設立され、信州や九州など県外からの女性が働き口を求めて集まってきました。綿布工場は今は数軒しか操業していませんが、江戸時代以来木綿の町として発展してきた岡田は、知多半島の一般の村とは異なる風景を作り出しています。木綿産業が盛んなころの岡田の繁栄の象徴が蔵です。現在でも約100棟の蔵が残っています。旧道や路地には、石垣と黒板塀・瓦屋根の古い家が並んでいますが、なかにはレンガを利用した土台や幾何学的なデザインの塀などもあり、古さと新しさが溶け込んだ町並になっています。